ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『午後8時の訪問者 』

すんごい本気のいびきをかいて寝ちゃう観客がいた。いびきが止んだと思ったら復活のエンドレス。ほかの観客からの座席ドンまたは肩トントンをされて起きている風だった。何度目かのとき、怒りより状況的なおかしさが勝って笑いそうになってしまった。 映画の方はそういうようなストーリーではなかったので心底腹たった人もいたろうなと思う。 

 

 

若い移民女性の死がきっかけで動き出すストーリー。医師である主人公ジェニーは自分の判断が招いてしまった死だと悔やむ。

子供の患者が発作を起こし、ジェニーの指示に対応できず立ち尽くす研修医ジュリアン。診療所を閉めた後、ジェニーは彼に強く注意する。診療時間もとうに過ぎたとき、チャイムが鳴る。しかし、出ようとするジュリアンにジェニーは「出なくていい。本当に治療が必要なら何度もベルを鳴らす。医師としてやっていくなら感情に流されるな」と言うようなことを言う。 

翌日、刑事が診療所にやってくる。遺体で発見された女性が監視カメラに写っていないか見たいとのこと。刑事と一緒に監視カメラの映像を見ると、そこには助けを求める若い女性の姿があった。 

あのときチャイムを鳴らして助けを求めたのは彼女だった。ジェニーは自分の小さなプライドを守ったがために若い女性を死に追いやってしまったと思ってしまう。 

「あのときドアを開けていたら…」

死亡した女性は身元不明。彼女への弔いと償いをかね、せめて名前だけでも明かしたいと思うようになる。そして、彼女の名前探しを始めるのだった。 

助けを求められたのに助けられなかった。医師として、人としての葛藤。死者の名前を取り戻す過程で、亡くなった女性に関った人たちそれぞれがあのときこうしていたらという葛藤を抱え、罪の意識に悩んでいた。

ジェニーにはジュリアンに強く当たってしまったことに対する後悔もある。それと向き合ったとき、彼が抱えていたトラウマも見えて来る。

助けられたかもしれない。でもキャパオーバーで無理だった。そういう葛藤。答えが出ない。