ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

気分で観ていた頃からの卒業

大きく出てしまったが、ゴダール映画についての話。

ゴダール映画をはじめて観たのは10代後半くらい。『勝手にしやがれ』、『小さな兵隊』、『気狂いピエロ』を観た。『勝手にしやがれ』はパリの街並みがいいな。『小さな兵隊』はアンナ・カリーナかわいい。『気狂いピエロ』はわからない。どれもストーリーがいまいち理解できず、気分で観ていた。

おしゃれぶって見たフランス映画で純粋に面白いと思えたのは、ジャック・タチの『ぼくの伯父さん』、トリュフォーの『アントワーヌとコレット』、ルイ・マルの『地下鉄のザジ』、『死刑台のエレベーター』、クロード・シャブロルの『いとこ同士』くらい*1

それ以後、おしゃれぶって映画を見るということがなくなり、フランス映画そのものをめったに観なくなった。早稲田松竹で『女は女である』と『はなればなれに』の2本立ての上映。2本で1300円。これを逃すともう観ようとも思わないだろう。仕事もひと段落ついたし、帰りに映画館へ。

1本目、『女は女である』。あれ?面白い。ミュージカル仕立てのラブコメディ。子供が欲しい彼女と子供はまだいいという彼氏。彼女にちょっかいを出す男子が割り込んでくる。彼女連れで「彼女と子作りしてください!」とスカウトしに出かけたり、寝る前に軽く喧嘩したとき本棚から取ってきた本のタイトルで会話するシーンがとてもよかった。

ジャンヌ・モローカメオ出演していて、『突然炎のごとく』の歌を歌っていたり*2、セリフの端々にヌーヴェルバーグの作品名なんかを盛り込む*3。そういう内輪ネタっぽいものにクスッとした。

2本目、『はなればなれに』はチンピラ二人と世間知らずの若い女の子の物語。気を引きたかったからなのか英語教室のクラスメイトであるチンピラの片割れに「(確証はないが)同居してる叔母が家に大金を隠してるっぽい」と話したことがきっかけで始まる強盗計画。それをシリアスかつユーモラスに描く。

とにかくカフェでのダンスシーンがよすぎる。その後、ルーブル美術館をアメリカスタイルで観ようと疾走する場面。アメリカ人は立ち止まらずに観るのか!?となったりした。「アメリカ人を越えた!」と喜ぶのとか本当にいい。髪型が古臭いと指摘されて*4、結い髪をほどき鏡を見るシーンのアンナ・カリーナがかわいすぎる。自転車に乗るシーンできちんと手信号を出していて、やっぱりこれやらないと危ないよなぁと思ったりした*5

仕事帰りの2本立ては老体にはきつかったが、見に行ってよかった。幸いAmazonビデオに『女は女である』*6があるので見直したい。

*1:意外とあった

*2:調べたらトリュフォーも出ていたらしい。改めて見直したい

*3:さらに調べたら『地下鉄のザジ』のザジがカメオ出演していたらしい

*4:そのときの髪型も十分すぎるほどにあってる

*5:日本でやったら変な奴と思われるかな…。と思いつつ早速実践している

*6:『はなればなれに』がないのが残念