ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

邦題より原題ままの方が作品を表していたように思う。原題は『DEMOLITION』。日本語で「取り壊し」、「破壊」、「打破」という意味。主人公がそうやって妻の死と向き合っていくというストーリーだった。主人公と密接に関わることになる10代の子供もまた現状を打破したいともがいていたように思う。

あぁはじまったとぼんやり映画を観始めたら直後のシーンが衝撃的。次の瞬間、病院に移る。事故により妻を失ったことが判明するが、悲しみの感情がわかない主人公。それより病院の自販機でチョコが出なかったことに対して怒りの感情が湧いてしまう。

妻の葬式の日、自販機メーカーに苦情の手紙を書く。そこに至る経緯として、これまでの妻との馴れ初めも書いていく。それが気持ちを整理していくようだった。

日常を取り戻したかのように暮らす主人公だったが、義父がかけた言葉をきっかけに修理の必要があった冷蔵庫、立て付けの悪かった男子トイレの個室ドア、調子が悪いパソコンなどを解体する(冷蔵庫は壊してた)。それがだんだんとエスカレートしていく。合間合間に妻との思い出シーンが入り、妻に対する思いが整理されていく様を描く。

朝早く起きて毎日の習慣をこなして、職場に行く電車で出会う人にちょっとした嘘をつく。淡々とすごしていた日々は嘘をつくことへの罪悪感もなく、大切な人をないがしろにしていた自覚もない。

そんな過去の日々を悔いたとき、大切な人がもうそこにはいないというのがなんとも切なくなる映画だった。