ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『台北ストーリー』

阿隆(アリョン)役を演じた若かりし頃のホウ・シャオシェンが誰かに似てるなぁ…。誰だっけなぁ、あ!くるりの佐藤くんだ。その直後から何をやっても佐藤くんにしか見えず、疾走する佐藤くん、ビンタされる佐藤くん、ちょっとモテる佐藤くん、殴りあいの喧嘩をする佐藤くん、賭博に走る佐藤くんとなってしまった。 

 

映画は煮え切らない二人の恋愛映画。

阿隆は少年野球をやっていた頃、実力のある選手だった。世界大会に出場し、優勝した経験がある。将来を嘱望され、野球をやっていた頃の過去に縛られている節がある。 

彼女の阿貞(アジン)は多分小学生からの同級生。キャリアウーマンとして働く女性。過去(多分、家族絡みのこと)にとらわれたくない。 

ふたりは将来を描けず、少し自暴自棄になったりする。携帯がない時代で携帯があったらこうドラマチックに展開しないんだろうなと思った。携帯がない時代だから描ける物語。ここで終わっちゃうの?ってなったが、その先を描くことにあまり意味はない。掛け違えたボタンは掛け違えたまま。戻すことができない。

1980年代に制作された映画で当時の台北の街が魅力的に描かれていたのが印象的だった。光化学スモックで煙る街は変わっていくし、変わらないままでもいる。 

阿隆が働く街は、(多分)迪化街。レンガ造り風の建物が並ぶ古い街で今もその姿を残している。阿貞が不良少年とバイクで出かける海辺の街は淡水区か三芝区界隈のようだった。夜、不良少年たちと阿貞がバイクで疾走する台北の街がいい。派手に電飾された建築物(あれは中正紀念堂あたりだったのかしら)の数々。たびたび映し出される富士フィルムNECのネオンサインに時代を感じた。 

 劇中、若い女の子(阿貞の妹)が「原宿行きたい!」と言う。このころの台湾ですでに原宿は若い女子の憧れの街だったのか!という衝撃。今も原宿❤️な節がある。アジア人の若い女の子は1度は原宿に憧れを抱くのかもと思った。 

 台北行った後に見たから余計に街の描かれ方に惹かれたのかもしれない。映画観て、また台湾行きたいとしみじみ思った翌日、職場近所のコンビニの女の子が台湾出身と知り、ちょっと立ち話をした。