ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『冬々の夏休み』

『牯嶺街少年殺人事件』を観てから台湾映画づいている。いわゆる台湾ニューシネマとカテゴライズされる映画が中心*1エドワード・ヤンばかりだったけど、こちらはホウ・シャオシェンの映画。

子供の夏休みの日々をたんたんと描いた作品。こんな風に遊んだなと思い出がよみがえる場面がいくつもある。

主人公は中学校入学を控えた主人公の冬々(トントン)。入院中のお母さんは手術を控えており、お父さんはお母さんにつきっきりになる。そのため、妹の婷々(ティンティン)とともに夏休み*2を田舎に住む母方の祖父母宅で過ごすことに。

兄妹は台北を離れ、祖父母たちが暮らす銅羅へ電車で向かう。その車中で起こることや田舎についてからの日々を冬々の視点で描く。冬々の夏休みは楽しくて、スリリングで、怠惰で、ときどき心細い。

冒頭の卒業式のシーンで笑う。日本と同じような卒業式。楽しかった運動会みたいな答辞*3仰げば尊し

電車での婷々を見て、姪を思い出したりした。慣れない車内トイレで若干漏らし、パンツを着替えるときに「このパンツは嫌」となる。それで姪を思い出して思わずニヤっとした。姪が実家に泊まった時、ママが用意してくれた靴下(実際は自分が欲しくて買った物)をこれじゃないのーって泣き、兄(甥)が冷めた目で姪はいつもこうだから放っておいていいよ*4と言ったのだ。

銅羅の子供達とすぐに親しくなった冬々は遊びに夢中になる。その中に入れてもらえず、怒る婷々。ちびっこはつい来るなよーとなる冬々たち。婷々を置いてきぼりにするため、せいので駆け足するシーン。付いて来ないのは付いて来ないで心配になってしまう。

体験したことがあるようなことがいくつも出てくる。自分だけじゃなく甥や姪に重なる場面もある。子供のことを丹念に描いた映画だなとしみじみ思った。
 

*1:デジタルリマスター版が公開されているせい

*2:台湾は9月入学。夏休み明けに新学期が始まる

*3:「パズルより難しかった算数!」実際に言ったセリフ

*4:相手にされないと泣き止むらしい