ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『ぼくと魔法の言葉たち』

アメリカのドキュメンタリー映画自閉症オーウェンとその家族の物語。

映画を観ながらNHKのドキュメンタリー「自閉症の君との日々」の東田直樹くんを思い出した。彼はキーボード*1を介すことで自分の思いを語ることができる。

『ぼくと魔法の言葉たち』のオーウェンはディズニー映画をとおして言葉を取り戻した。ディズニー映画の映像がふんだんに使われていて、オーウェンがこの世界からいろいろなことを学んだんだなとわかる。セリフをほとんど覚えていて、映画を観ながら一緒にセリフを言う場面などは微笑ましい。

オーウェンは3歳になった頃から言葉を発しなくなる。言葉を失ってからずいぶん経ったある日、ディズニー映画を観ていたオーウェンが何かを言う。その後、またしばらくして今度ははっきりと一言。「ひょっとして?」と思ったお父さんがオーウェンが大好きなアラジンの脇役のぬいぐるみを動かし、声真似をしながら話しかける。するとオーウェンがスラスラと返事。「3歳の頃から君*2とは友達だ。今の自分には友達がいなくて寂しい」と言う。その後、家族はディズニー映画のセリフを元にオーウェンと会話を交わし始める。家族がオーウェンを取り戻した。

家族のこともきちんと取り上げているのもよかった。兄のウォルト*3は誕生日が来るたびに自分の重荷が増えているようだと感じてしまう。両親も弟も大好きだ。けれども弟を最後まで見てやれるのは自分だけだと全てを背負おうとする。家族だからこそ直面すること。

自閉症の人は友達がいらないと言われる。でもそれは嘘だ。友達は欲しい」とオーウェンは話す。東田くんもそうだけど、思っていることを話せる自閉症の人が話すことで自閉症の人への理解が深まっていくように思う。

 それにしてもオーウェンは今20代。20年前のアメリカでも自閉症の診断が難しかったそうだ。日本はもっと大変だったのだろうな…。

 

 

*1:お母さんがQWERTY配列を紙に書いたもの

*2:アラジンの脇役

*3:兄の名前がウォルト・ディズニーと同じ名前で、すごい奇跡だわと思ってしまった。