ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『幼な子われらに生まれ』

2時間程度の時間で端的に夫婦の過去を見せる。主人公夫婦についての出会いの描写まではなく、若干おや?と思ったものの、そこまで描く必要もなかったのかな?と思えた。

バツイチ同士の再婚。妻に連れ子あり大手企業勤めのサラリーマン信が主人公。妻の連れ子を自身の子供のように愛しているが年に4回実子と面会。キャリアウーマンの元妻も再婚している。

信は有給休暇も全てとり、定時に上がり、休日出勤もしない*1。素敵な働き方だが、管理職でありながら超絶ホワイトな働き方をすることが会社に煙たがられ、リストラしたい人員になってしまう。そして出向を言い渡され追い出し部署へ。

思春期になった連れ子は母の妊娠で自分の居場所がなくなってしまうかもと不安になってしまったのかもしれない。情緒不安定になった彼女*2は父を「パパじゃない。本当のパパに合わせて」と突き放す。思春期の子供と向き合うことの辛さが突き刺さる。

多分知ってはいると思うけど鈍感であろうとする再婚した妻役の田中麗奈が良い。なんとか感情を抑え寛大であろうとする主人公を演じる浅野忠信さんも素晴らしい。それでも許容を超えた時感情が決壊する。決壊するけどセーブする様がいい。原作ではSMに逃げたことで救われたらしい*3が、映画では一人カラオケで逃避。これが「あぁこの夫婦はきっと大丈夫」となる場面でとてもよかった。

血のつながりがなくても親子だった時間を子供はちゃんと分かる。子供なんて面倒と思いながらも久しぶりに会うと思ったら子供のためにといろいろ準備するものの…。用意したポケットの小銭が辛い。

子供が見ても、大人が見てもいい。それぞれの視点、それぞれに対する思いが交錯し、突き刺さってくる。

*1:はてな的に素晴らしい働き方

*2:もっと前から疎外感があったのかもしれないが決定打は母の妊娠だったのだと思う

*3:はてな的に逃げるは禁句な空気