ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

不倫は恥だし、生き地獄

週末、友達と山内ケンジ演出の舞台『相談者たち』を観に行った。映画しか観たことなく念願の初観劇。不倫話が多いと聞いていたが、この作品もやはり不倫だった。

舞台が始まる前に三鷹芸術文化センターのホールの担当?らしき人が、注意のアナウンス&舞台の軽い紹介のようなものを滑舌よく話す*1。「囁き声で聞き取れないところがあったり、暗くて眠くなってしまうかもしれない。寝てしまった人がいたらそっと起してあげてください*2」などと言い、話しきったところで暗転し、はけていった。

舞台に作られていたのはリビングと玄関。主にリビングで繰り広げられる会話劇。玄関側の壁がすりガラスになっていて、客席から玄関の様子はうっすらとしか見えない。役者の動きがぼんやりと見え、はっきりわかるのは声だけという演出が面白かった。

登場人物は50代夫婦、20代の1人娘、娘の彼氏*3、夫の元職場の後輩の男子と、派遣社員の女子。

自宅リビングで夫婦が別れ話をしている。別れたい夫と別れたくない妻。そこへ娘が彼氏連れで帰宅。しばらくして、後輩が派遣社員女子を連れてやってくる。派遣社員女子は夫の不倫相手であり、後輩の元不倫相手。後輩の家庭を壊した前科アリの触るな危険の要注意人物だ。

娘とその彼氏に「結婚はまだ認めない」と古典的な父として振る舞うが、そんな2人の前で不貞の内情が露わになり、父の威厳ガタ落ち。妻も娘も娘の彼氏も、この派遣社員女子は地雷だとわかるが、もはや夫(父)への未練はなし。もう誰も止めない。しかし当の2人は困難を乗り越え禁断の愛を成就させたばかり。今この時が絶頂と言わんばかりに人目も気にせず、2人の世界に没入する。2人以外は呆れ、冷静になっていく。

不倫を「禁断の愛」と感じているのは当人だけなんだろうなと思ってしまう。そういう風に描く物語の方が多いし、スリル感と狩猟感を楽しむ人がいるのかもしれない。しかし、修羅場の恥を描かれると覚める。妻の立場だったとして、別れたくないそう思ったことが恥ずかしくなってしまうと思った。

増田でも自分に酔った不倫語りがたびたび登場するが、よくもまぁそのノリ*4で書けるもんだと感心してしまう*5。読み手の中止中止〜とか、そもそもばれたときの格好悪さとかを想像すると自意識過剰な自分には地獄。

*1:本当は劇団の人なんじゃないの?と思ってしまうほど声が通る

*2:実際、私は軽くうとうとしそうになった

*3:職場の先輩

*4:悲劇の主人公気取りの男、ロースおじさんが言うところのいい女風気取り

*5:どんな顔で書いてんだよという想像もしてしまう