ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

3月7日に鑑賞。

だいたい映画を観るときポップコーンを食べる*1。今回もポップコーン&コーラを注文。ポップコーン*2はレジの店員さん次第で量がまちまち。少ないとハズレだなぁ…多いとアタリ!でも、今回は「少なそう。絶対に少ない」。会計を終え、中身をチェック「やっぱり少ない!!*3」という量だった。ほかのレジへ行って「量を増やしてください」と頼めばよかったのだけど、自意識が邪魔をしてそのひと言が言えない。予告の最中ネチネチとクレームのメッセージをしたためる。「ポップコーンの量について」という件名で書く。そうこうしていたら本編始まる合図。観終えたあと、すっかり気持ちが落ち着き、まいっかと思ったのだがやはり量はちゃんと決めて置けということは言っておきたい*4

カナダの画家モード・ルイスの実話に基づいた映画。モード・ルイス役をサリー・ホーキンス*5、夫のエベレット・ルイス役をイーサン・ホークが演じていた。

モードは少し不自由な手つきで絵を描き、片足を引きずるように歩く姿で体が不自由なのがわかる。そんなモードを兄は煙たがり、両親の死後、あっさり家を売却し、モードを叔母に押し付ける。兄と叔母ともにモードを一族の恥さらしみたいに言う場面があって、え?なんで?と思っていたのだけど、1900年初頭頃は身体障害者への差別が酷かったらしい。

モードは何の病気なんだろうと観ているとリウマチとわかる。私の母もリウマチなので他人事じゃない。今でも特効薬はなく進行を抑える薬があるくらい。それでも母が罹患したころよりは今の方がいい薬*6が出ている。モードさんの頃は相当辛かったろうなぁと思う。ご本人の写真の手を見て、今だったらもっといい状態を維持できたろうと思ったりしてしまう。

絵を描く場面がとても良かった。筆の動き、絵を描く横顔。缶詰の空き缶をパレットにし、小さな机で絵を描く様子など。また、カナダという土地柄もあるのかモードとエベレットが着ているニットがかわいい。これは手編みセーターかな?というのもあった。セーターに若干ほつれがあったり、確か毛玉があったり着込んだ風合いを出しているのもとてもよかった。なにより二人が暮らすタイニーハウスがかわいらしい*7。エンディングで本物のルイス夫妻がテレビに出たときの映像が流れ、小屋の再現度の高さにビックリした。

映画では家政婦として住み込みで働かせてくれというところからふたりの関係が始まる。雇用主と労働者の関係だったのがだんだんと変化し夫婦になっていく。その二人の変化に伴うように小屋の中がモードの絵でいっぱいになり、カラフルになる。

エベレットが仕事仲間と一緒に家に来たとき、モードを邪険にする。それに対してモードがすねて、心を落ち着かせるためペンキのフタを開け、塗料を手に取り、壁に絵を描き始める。その様子を見て、謝罪するエベレット。モードは何か吹っ切れたかのように絵を描き始める。

「なんだこれは妖精か?」とエベレットが言うと、モードが「鳥。まだ完成してないの」。そんな何気ない会話がいい。絵を描いちゃダメとは言わない。絵を描くことが好きなモードのために、掃除くらいなら俺がやるって言ったり、網戸をつけるつけないの話などぶっきらぼうながらモードに尽くすエベレットがいい。この夫なしに画家としてのモードはなかったのかもなと思う。

モード・ルイスのことを調べていて、エベレットさんが気の毒な亡くなり方をしたと知り、切なくなった。二人が二人で過ごした時が貧しくとも幸せだったのかもしれない。そんな二人が暮らした小屋は地元の人の保存活動などもあり、ノバスコシア美術館の中に移設展示されているそう。ミュージアムショップで売られているキーホルダートートバッグマグネットも気になる。

まずは、3月末までカナダ大使館でやっているらしいモード・ルイス展を観に行ってみようと思う。

*1:迷惑に思う人がいることは承知しているが、仕事終わりで見る時間帯だとお腹が減っているのだ

*2:フレーバーです。シャカシャカ言わせるやつ

*3:少なすぎる!フレーバーポテトのカサじゃねぇか!

*4:思ったより気持ちがおさまってない

*5:シェイプ・オブ・ウォーター』にも出てる。まだ観てないが、京都の本屋さんの感想を読んで観に行く気になった。

*6:注射や点滴が多い

*7:風呂&トイレはどうしていたんだと気になるほど小さい。