ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

やさしさに包まれたなら大人はダメになる

20年前、月曜日から木曜日まで深夜ラジオのヘビーリスナーだった。月曜日は伊集院光、火曜日は爆笑問題、水曜日はコサキン、木曜日は99。深夜のAMラジオ特有の空気感がとても大好きだった。

加齢とともに起きていられなくなり、徐々に聞くものが減っていく。最後まで聞いていたのが99のANN。ただ岡村さんが鬱から復帰したあたりからパタリと聞かなくなる。その理由がよくわかっていなかったけど、今回の炎上騒動で岡村さんは20年前と変わらない岡村さんだったと知り、自分が10代の子どもではなくいい歳した大人になってしまったから聞けなくなったのかもしれないと思った。

先週の放送をリアルタイムで聞こうと思ったが、追い詰められた人の声を聞くことに躊躇いがあった。自分のメンタルが削がれるかもしれないし、好奇心で聞くことが悪趣味のようにも思われた。翌朝、エンタメニュースで矢部さんが久しぶりにANNに登場し、公開説教をしたと知る。とても安心した。例えコンビ仲が良くなかったとしても長年連れ添った相手がそばにいることは岡村さんにとって心強かったろう。

radikoのタイムフリーでANNを久しぶりに聞く。矢部さんの発言を自分ごととして捉えている人が見受けられたが、私は芸人の人間ドラマとして話に聞き入ってしまった。

矢部さんは相方に対して思っていたことを切々と語る。その場で言ってやれば良かったのにと思うことも多々あるが、矢部さん自身も若くまだサッカー部の上下関係の呪縛から脱却できなかったのだろう。そうしてこれ以上嫌いになりたくなくて距離をとったと明かす。大好きな先輩を嫌いになっていくことは矢部さんにとっても辛かったはずだ。

相方からの嫌悪をつまびらかにされたことは岡村さんにとって大きな衝撃があったのではないかと思う。うっすら感じていたことが確信を持ってあぁやっぱりそうだったのかとなったのはショックだったに違いない。矢部さんの言葉が響いていない気がするという感想がいくつかあったけど、相方に正面切って嫌悪を示され、上の空になってしまったのではないかと感じた。人に嫌いと言われるのはとても辛い。とくに戦友のような相手から三行半に近しいものを突きつけられてしまったのだから。

20年前から岡村さんは女性に対して危うい発言をしていた。問題発言が起こると、女性リスナーからお小言が入り、それを矢部が読み上げて謝罪する。それが通例だった。リスナーであれば岡村さんのトラウマの原因を知っている*1。岡村さん自身が被害者であったから、そういう発言を許容する空気があったのも確かだ。そして、鬱病明けから「かわいそうさん」として接せられ、岡村さんは裸の王様になってしまった。

リスナーやスタッフへの苦言もあったけど、終始岡村隆史一個人に対する諭しであったと思う。「岡村とはもう先輩後輩という仲ではない」そうハッキリと突きつけたのは矢部さんの決意のようにも思える。昔のようなコンビに戻れないとしても、これからを見据えているようなそんな気がした。

歳をとる恐怖感は間違いを正してくれる存在が少なくなってしまうこと。周囲が自分に意見をしないやさしい人ばかりになっていってしまう*2。その結果、自分自身に甘えが生じる。そういうぬるま湯はいつだって気持ちがいい。そして恐ろしい。

矢部さんの公開説教で年下や女性に「ありがとう」や「ごめんなさい」を言えない人になっていたと知った岡村さんのご両親や妹さんは「マジかよ!隆史最低だな」となったはずだ。元ヘビーリスナーとしては自分を置く環境を少しでも変えて「ありがとう」や「ごめんなさい」を言える新生岡村隆史になってほしいと思う。

なお、99のANNで好きな矢部話はフジテレビの通称パナソニック枠で「めちゃモテ」だけオリジナルCMが作られなかったこと*3。嘘かホントか当時のパナソニックの社長が「矢部の顔はうちの会社をダメにする」と言っていたらしい。岡村さんが抑揚をつけて話していたので笑った。また、矢部さんは適当な相槌を返すことで有名。新幹線か飛行機に乗っていたとき、マネージャーから「馳星周いました!」と興奮気味で言われたとき、「馳選手ね」と適当な相槌をうってマネージャーをガッカリさせたエピソードが好き。

それじゃぁバイバイ、深田恭子でしたぁ*4

*1:詳細は明かされていないが、二人目の彼女に受けた行為がきっかけだったはず

*2:矢部さんのように内心で怒りを貯めている可能性はある

*3:オリジナルCMが作られるのが恒例になっていた

*4:深キョンファンだった岡村さん宛に深キョンが99のANNにメッセージを寄せたとき最後に言ったセリフ。「恭子はぁ…王子様みたいな人が好きです☆」と言っていたのも個人的にツボ。かわいいよ深キョンかわいいよ