ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

セーターにポップコーン

仕事帰りに映画を観て、電車に乗ったら目の前に座っていた男性が当初はシャキッとしていたのにうとうとし始め、ついにいびきをかきはじめた。時を同じくして、私の後ろの方から「うぅーうぅー」と呻き声が聞こえてきた。振り向くと斜め後方の方で黄色いサングラスをかけた若い男性が苦しそうにしていた。酔っ払いか?吐いちゃうのか!?と危険を察した周囲の乗客が席を立ったり、避け始めると呻き声の主であるその彼がバタンと床に倒れ込んだ。

車内が騒然とした瞬間、小柄な若い男性が躊躇なくその人の元へ歩み寄って声をかけるが返事は虚。それを敏感に察した付近の女性が上り側の乗客に向かって「急病人です。非常ボタンを押してください」と声をかける。「ないみたいです!」の返答を聞き、私も思わず下り側に「非常ボタンそっちにありますか?」と声かけたら「あります!」つって元気よくボタンを押す若者。「すみません!ドアの開閉ボタンでした!!」で、ちょっと車内が和んだところで、車掌さんと話せる状況になっていた。

しばらくして、むくりと立ち上がった倒れた男性に、躊躇なく駆け寄った男性が医師のように話しかける。「気を失いましたが大丈夫そうです」とかそんな話をしていたので、不安そうに上り側を見つめる下り側のメンツに「大丈夫みたいです」と報告すると電車が動き出し、次の駅で急病人介護のために待機していた複数の駅員さんが乗り込んできた。

駅員さんに事情説明し、申し訳なさそうにする倒れた男性。駅員さん御一行は気にしないで!大丈夫な方が助かるんでと安堵した様子で去っていく。その頃には私の目の前でいびきをかいて寝始めた男性もすっかり目が覚めていた。

私はその次の駅で下車し、スーパーに立ち寄って買い物をした。レジを担当してくれたのはかわいらしい女性の店員さんだ。その店員さんに「そこついてますよ」と言われて、着ていたセーターに手を当てるとポップコーンがついていた。