ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

マンチェスター=イギリスの地名としか思っていなかった。そんなわけで劇中でボストン?ミネソタ?とアメリカの地名を言われ、徐々にイギリスじゃないアメリカなんだ!という認識を得る。 

家に帰ってから調べ“マサチューセッツ州にある「マンチェスター・バイ・ザ・シー」とわかった。すっきり。海辺に立つ家々はかわいらしくて絵になる。見てみたいなぁと観光客目線で思ったが、よく見りゃ家の外壁はシダーシェイクで定期的な塗装が必要。メンテナンスが大変そうだと思った。 

主人公であるリーを演じたケイシー・アフレックがいい感じに老けたおじさんでいい。ボストンで他者と関わることを避けるように便利屋をしていたが、兄・ジョーの急死がきっかけで地元へ帰ることに。帰る途中や地元に着いてからリー本人が思い出すかのように過去の出来事が描かれる。噂には尾ひれが付き、リーは偏見の目で見られていた。 

弁護士と会い、ジョーの遺言により自分が甥パトリックの後見人になっていることを知る。ジョーは心臓病を患っていたので、自分の死後のことを用意周到に考えていた。後見人だけでなく葬儀や墓のことも。

パトリックにとってジョー以外に心を許せる人はリーだけだった。ジョーはそれを察しパトリックの後見人にリーを選んでいた。実際、リーとパトリックの二人は感情をむき出してぶつかる。遠慮なく言い合うことができる関係は大きい。お互いを罵ったりもするのに、叔父は甥を慮り、甥は叔父を慮る。 この二人のバディ物語のような面もあった。

リーは自身の過失により、妻ランディと離婚していた。そんな元夫婦であるリーとランディの姿を対比的に描く。乗り越えることで前へ進む人がいる。でも、乗り越えなくたっていい。目の前にある障害は飛び越えなきゃと思いがちだ。でも、乗り越えられない出来事は乗り越えなくていい。 

乗り越えないと選択したこともまた前進していることであるのだ。