ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

『恐怖分子』

写真好き男子の小強(シャオチェン)と不良グループとつるむ少女の淑安(シューアン)、郁芬(イーフェン)と立中(リーチュン)夫婦の群像劇。なんの接点もなかったのに淑安を通じて繋がる。

夫である立中は医師。上司の死をきっかけに出世のチャンスを狙う。妻の郁芬は小説家で新作をかけずに苦悩している。夫は妻との暮らしがよくなるように、そんな思いもあって出世を望んでいたようだった。しかし、妻は小説が書けない行き詰まりから生活そのものも息苦しく感じているようにみえた。

小強は彼女の部屋で同棲中。現像をするほどの写真好きで、ひょんなことで不良グループたちの銃撃戦に出くわし、おもむろにシャッターを切る。逃走する淑安も数枚の写真に写っていた。写真を撮ったときすでに彼女に心惹かれていた小強。いつものように現像し、淑安の写った写真数枚を飾る。小強の気持ちを察した彼女は嫉妬し、怒る。小強は部屋を出ていってしまう。

立中と郁芬夫婦と、小強とその彼女を対比的に描いていたように思う。1組は女性が離れ、もう1組は男性が離れていく。

離れたことで女性は生活に潤いを取り戻す。男性は騙されてまた彼女の元へ戻っていく(都合よすぎねぇかと思ったりした)。

淑安が退屈しのぎにかけたいたずら電話が引き金になり、マイナスに進む。悲惨な結末は小説だけの出来事だったのか、夢だったのか、現実だったのか。

どれが正解なのかわからないけど、この作品が『牯嶺街少年殺人事件』への架け橋になったというのはうなづける要素がある。