ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

おじさんの財布には絆創膏がある

数年前から畑を借りている。ほぼ毎週末15分くらいかけて自転車で通う。

知り合いのおじさんが野菜雑誌の編集者。あそこの畑を借りたらおじさんに教えてもらえんじゃね?がきっかけ。実際手取り足取り教えてもらい、さらに農業用品まで貸してもらい、心の中で師匠と呼んでいる。

師匠曰く「趣味でやっている人は1年前のことはみんな忘れるから」。その通り忘れた。トマトってどうやって育ててましたっけ?土を耕すのは?種の蒔き方は?間引きは*1?全て忘れた。そんなわけで毎年、種まきシーズンのときに改めて教えてもらう。師匠が育てた苗をいただくことも結構ある。冬は白菜、キャベツ、レタス、茎ブロッコリー*2の苗。今年も1株ずつくらいいただいた。

収穫どきもよくわからない。「俺は雰囲気で収穫している」状態。ある日、仕事で師匠と会い「あなたのところのキャベツ、大きくなりすぎてるからそろそろ収穫してやって」と言われた。そうかなと思ったが、やっぱり収穫どきだったのか。

今日こそキャベツを収穫するぞ!と意気込んで畑に行く。キャベツを収穫し、その後、ブロッコリー、サニーレタス、ルッコラなども収穫した。

師匠がビーツに不織布*3をかけてやるといいかもと言っていたので、その作業を行なう。その後、軽く畑全体の雑草を抜く。畑作業をほぼ終え、キャベツ収穫時に使ったナイフの泥汚れをとろうとタオルで拭いた。結構雑に拭き、指を切る。たいして痛くなかったし大丈夫だろと思ったのも束の間。血がだらだら。えー!!瞬間、畑の近所に住む友達の顔が浮かぶ*4。あーあの人は今絶賛仕事中だ…。あーこの人は今日はお稽古だ…。どうしよう!!

とりあえず血の止め方でググる。「心臓より上で指を振る」と書いてあったので実践。なんとなく止まった気がする…。休憩所へ向かうが……全然止まってない…。畑に来ていたおじさんに絆創膏ありますか?と聞く。それは大変と言って、自身の持ち物チェックを開始。「いつもの財布になら絆創膏を入れてるんだけどね…。ごめんね。ティッシュしかない」そう言ってティシュをくれた。私はタオルしか持っていなかったので、とても助かった。

ティッシュを指に巻きつけながら心臓より上で振る。そのおかしな姿勢が気になったおばさんがどうしたの?と聞いてきた。自分の状況を説明し、絆創膏を捜索してくれるがなく、ティッシュをくれることに。それでもとても嬉しかった。力を入れたら傷口がびりっとなりそうではあるけどもう暗くなるし、帰ろう。

そう思って自転車を動かしたら師匠の姿が見えた。「おおー来てたのかー」と笑顔で言いながらやってきた。なんとなく無事に帰れると確信。事情を説明したらバックから財布を取り、財布の中から絆創膏を取り出した。「それは大変でしたね」と言いながら貼り付けてくれた。

*1:野菜の品種によって違う

*2:セニョールみたいな名前

*3:野菜にとっての布団

*4:もしものときはお互い助け合おうの会メンバー