ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

これこれちこうよれ

「これこれちこうよれ」とは福井県立図書館の覚え違いタイトルのひとつだ。ひとつひとつ小粒で面白い覚え違いタイトルは誰かに話すでもないけど、自分の胸にだけ留めておくにはもったいなくて、ふとしたときに思い出したくなるようなものだと思う。そんな出来事を誰でも持っているはず。今から書くのは私の身に起こった「これこれちこうよれ」的なお話だ。

【8月某日の夕方】いつものように近所のスーパーに買い物に行くと、上りエスカレーターからマスク越しでも嬉しそうなのが伝わってくる男性が上がってきた。どっかで見た筋肉だなと思う。あの筋肉は誰だっけかなぁ?あっNHKの筋肉体操の先生だ!とすっきり。目元も先生にそっくりだった。でも、あの筋肉先生って近大にお勤めだったはずじゃ?撮影で都内にいるのか?ただのそっくりさんか?などとしばし考え込む。

【8月のある日の週末】長らく仕事をともにしてきた弁護士先生とライターさんと会う。ふたりとものどかな地域で暮らしているせいかコロナへの心構えが都市部民の私と違う。いくらなんでもゆるすぎでしょうと思うゆるさで、なるほどこれが地域格差だなんて思ったりした。でも、みんながみんな同じ方を向くなんて不可能だし、それぞれ自分でできることをやるのがいいよなぁと思った。弁護士先生がロックダウンを望む世論に対し、「みんな強制されたいの?」と言う。いかにも弁護士先生らしい意見だと思ったし、流されやすい私はしみじみとこういう意見が大事なんだよなぁと先生の言葉を噛み締めた*1

二人と久しぶりに対面であったこともあり、お互いにあれやこれやと話す。ライターさんの従兄弟がエッセイ系の漫画家で「いやーあいつは面白いやつでねぇ」と話してくれたエピソードが外れなく面白く、倒れたときに大切なのは「靴」だと言っていたらしい。靴がなかったことでいろいろバレて大変な目にあったそうだ。

弁護士先生はというと「入管は差別主義者」と憤っていた。みなさんお察しの通り行政組織イチの曲者で仕事を担当するたびに腹が立つという。なお、二児の親である弁護士先生はご子息がうるさくってーと言っていた。よくよくきくと反抗期真っ只中でほんの少しでも気に触ることがあったら親につっかかり、すぐ論破しようとするのだそう。なに!?弁護士の親を論破しようとするなんて強者すぎないか?と思いつつ拝聴。それってはてな的には平常通りというやつだなと思う。右を見ても左を見ても論破マンなはてな村の日常。想像するにそれはうるさい……、間違いなくうるさいはずだ。

【8月某日】妻に異性としてもう見られない宣言されたと言う増田をさら読みする。私の副業ネタあるあるですぎて、カランコロンとドアをあけてやってきた常連客にすーっといつものを出すマスターの気分になった。はてなでもこの手の話がウケているのを見て暗澹たる気分になる。マヂでみんなこう言うネタ好きすぎだろう……そらぁ…あんなクソみたいな仕事が成立するわけだよ。

【読書について】飴屋法水さんの原稿が読みたかったので『新潮』2021年8月号を図書館で借りて読む。コロナ禍で起こった日々の出来事や思ったこと、過去の出来事などが断片的に綴られたエッセイのような小説のような不思議な余韻が残る読み物だった。いちばん印象に残っているのは昆虫のGの話。これはヤバい。

その後、中西智佐乃さんの「祈りの痕」を読んだ。パン工場で働く二人の女性を軸に話が進む。女性二人は家庭内暴力被害者で、それぞれの家庭の話が交互に綴られていく。一人は処世術として笑顔を手に入れたが、そのせいで自分を追い込んでいた。もう一人は謝れば全てが終わるそう信じて自分に非がなくても謝り続けて自分を追い込んでいった。読みながらもう逃げちゃえよとなるんだけど、当事者の自己肯定感はズタボロで逃げる方が怖い。自分なんかがそう思って身動きが取れなくなっている。これを読み被害者のことを分かった気になって逃げろと口走っていたことを反省した。なんて浅はかな行為だったのだろうと思う。

【映画について】コロナウィルスがあまりに増えすぎていたことや、仕事がらみで精神的に参っていた時期があり、映画をあまり見ていなかったのだが、『ドライブ・ マイ・カー』は気になって鑑賞*2。思ったこと、相手に伝えたいことは口にしないといけないなぁと思う。広島の街並みの美しさと、整備が行き届いた高速道路が印象に残り、車の運転ができたら気持ちよく日本縦断できたかもなぁなんて思う。

*1:弁護士は共産党系が多いらしい。中央とかついた弁護士事務所は共産系と思って差し支えなしとのこと

*2:西島秀俊がセックス連呼する場面で笑いそうになってしまい、ダメな人間だと思った