ハイク以上の長文

ブクマはやばいよ、スターを押しな、スターを。

手に手を取って

午前中、自宅でオンライン打ち合わせをし、午後出勤した。ここ数カ月は仕事で疲弊しているので電車移動はとにかく座っていたい。だから今日も座りたいと思って乗り込んだ。

「優先席が空いているはずです。あっ空いてない」という声の方に目をやると、誘導されてきたのは視覚障害者のお婆さんだった。駅員さんはお婆さんに「手すりにつかまってください」と言って車内を出て行く。

私は座ったばかりの席を立って、お婆さんに声をかけようと立ち上がる。すると周囲にいた人たちがスーッとよけてお婆さんが私が座っていた場所へ座りやすいようにしてくれた。改めて「ここに座ってください」と言うと「いいんですか?」といってちょこんと座るお婆さん。席に案内するとき、私も周囲の人たちにぶつかってしまったのだけど、皆気にしてませんよ、ぶつかってなんていませんという風を装っていた。

ぼんやりと数駅やり過ごしていると、席を譲ったお婆さんが降りる準備をし始めた。あっこれは私と下車する駅が同じかもしれないと思って声をかけてみる。「〇〇駅で下車しますか?」と尋ねると「はい。〇〇駅でおります。駅には係の人がいますよ」というので「じゃあドアまで一緒にいきましょう」と話しかけた。おばあさんは立ち上がって私の腕を捕まりやすい形に変える。私はなるほどこの形が捕まりやすいんだなと思う。そうして、駅につき、駅の係の方とバトンタッチ。駅の係の方は慣れた手つきで捕まりやすい腕を作っていた。すごいなぁと感心しつつ、私はお婆さんとお気をつけてと言い合って別れた。