給料を上げて欲しいといい、いいよと言われてから1年半以上経過した。上がる気配は一切ない。いいよと言われたんだから改めてあの件どうなりましたか?といえば済むことなんだけど、なんだか言いにくい状況*1になってしまい言えない。そんなわけで大して金にもならない副業*2を始めたんだが、世の中の人たちってこんなにもスカッとする話が好きなのか?って思う。嫁姑バトルで嫁勝ちパターンはデフォルト。読んでも読んでも金太郎飴のように同じ話ばかりがやってくる。ひとつ読むたびに脳が息切れを起こしたような感覚に陥り、一刻も早く脳を洗浄したいってなって本を読む。なんだかよくわからないルーティン。
目下、浄化のために読んでいるのは図書館で借りた文藝2020秋号。宇佐美りんさんの「推し、燃ゆ」*3は一気に読ませるなぁと思いつつ読んだ*4。主人公はインターネットではうまくやれるんだけど実生活では不器用な子で自分と重ね合わせる人がいそうだなと思った。炎上描写はまさにこうだよねってなるし、地下アイドルにハマった子って実際もきっとこんな感じなんだろうなぁと思わさせられた。
岸政彦さん、柴崎友香さんの大阪をテーマにした連載にはこりゃぁいいものを読ませていただきましたとなる。どちらも読み出した瞬間、大阪の空気感が漂う。
柴崎さんは大阪に住んでいた頃から作家になり、東京に出るまでの思い出話。あまり知らないなりに梅田の街が過去から現在まで頭の中にふっと湧いてくるのは地理学を学んでいた人ならではの描写だろう。
岸さんの話はコロナ禍の自身の生活のこと。散歩することが増えたという。Googleマップを通して地方を散策*5したり、近隣を20km近くもぶらぶらと歩いたり。そして、街の人々の声を聞き、印象に残った言葉を記憶し、文に残す。中でも大阪のおじいさん2人組みの会話「あっちむいても、こっちむいても、コロナだらけになってまう」のリズム感に大阪を感じるといい、「ならへんわ」と思わず突っ込みたくなるという岸さん。読んでいるこちらはその心の声を含め、あぁ大阪だなぁと思うのだった。ふたつのエッセイは読んでていてとても心地がいい。それぞれの大阪という街への強い愛を感じる。読後、あぁ久しぶりに大阪行きたいなぁ、肉吸いうどんが食べたいなぁと思うのだった。